• Annual Report 2018

    医療法人社団悠翔会 2018年業績報告

    Structure

    2018年の診療体制

    首都圏では今後数十年にわたり、要介護者の急増が予想されています。わたしたちは、この圧倒的な在宅医療ニーズにこたえるために、「チーム在宅医療」の理想を追求しています。


    半径16キロをフルに使うのではなく、より小さな単位で診療拠点を配置。都内のクリニックは概ね半径3キロ、郊外のクリニックは概ね半径6キロを目安に地域に密着した在宅医療を提供しています。

    1つ1つの診療拠点に複数医師・さまざまな医療専門職を配置、いかなる患者さんでも受け入れられる強力かつ安定的な診療体制の構築を目指しています。

    診療運営体制の強化

    診療拠点の新設

    2018年は練馬に新たに有床診療所を開設し、11クリニック体制となりました。悠翔会では、この11のクリニックを2グループに分け、それぞれ連携型機能強化型在宅療養支援診療所として機能しています。

    また、今年開設した練馬を含め、すべてのクリニックが在宅緩和ケア充実診療所加算の要件を満たしています。

     

    来年は、東京都墨田区および茨城県守谷市に新たに在宅療養支援診療所を開設する予定です。

    診療能力・組織運営能力の強化

    2018年、全職種において新しいメンバーを迎え、職員数は205名となりました。

     

    診療チームは49名の医師・歯科医師を中心に構成。

    うち、精神科専門医が3名、形成外科(皮膚科)専門医が2名、それぞれ専門診療を支援しています。総合内科を担当する医師たちは、それぞれサブスペシャリティ(専門分野)を持ち、眼科・耳鼻咽喉科を除くほぼ全診療科が院内で対応が可能な状況になっています。

    2018年は、患者数の増加が続く川口、越谷、柏にそれぞれ新たな常勤医師、そしてクリニック開設予定の墨田に院長候補となる常勤医師を迎えました。

     

    看護師は産休・育休中の職員を除き39名。現在は、基本的には訪問診療の補助業務および地域連携を中心に対応しています。

    今後、医師補助の範囲の拡大と、看護の専門性をより発揮できる領域へのその機能拡張を予定しています。

     

    ソーシャルワーカーは患者数に応じて各クリニックに配置。それぞれ訪問診療の導入や入退院の支援の他、総合的な対人援助に対応しています。

    今後は、看護部との連携を通じて、より高度なソーシャルワークの必要なケースに業務の重点を徐々に移行していく予定です。

     

    診療サポートは、院内総務・電話対応・診療ルート作成・連絡業務・車両運行・電子カルテ入力および書類作成の支援等、診療業務以外のすべての業務のバックアップを行っています。

    今後は、請求業務のバックアップセンターを稼働させるとともに、システムの機能向上により事務作業量の大幅な削減と、個々のメンバーの多機能化を進めていきます。

     

    管理部門においては、人事部門の強化を行いました。また、地域連携室の廃止とクリニック運営支援部の創設を行い、文字通り総合的なクリニックの運営支援が行える体制の構築を目指しています。

     

    システム開発部門は、新たにインフラ担当のエンジニアを確保し、電子カルテシステムの運用体制をより強固なものとしています。また、24時間コールセンターもメンバーの増強により、運営体制の強化を計っています。

    Process

    2018年の診療運営

    在宅患者数の増加

    2018年は、新たに1903名に対する訪問診療を開始させていただきました。同期間中に1629名の患者さんの訪問診療が終了し、この1年間の在宅管理患者数の増加は274名となりました。

    約9%の患者増加となり、これまでの成長ペースを維持しています。

     

    この1年間は新規の大型高齢者施設の診療受け入れはなく、主に居宅の患者さんを中心に患者数が増加しています。

     

    また、総患者数においては、2018年11月時点で、4000人を超えました。今後も地域のニーズにしっかりと応えられるよう、診療能力の強化・進化を進めていきたいと思います。

     

     

    ※2017年10月1日~2018年9月30日のデータより

    訪問診療開始の内訳

    訪問診療が開始となった患者紹介元です。
    施設患者が53%、居宅患者が47%と概ね半々の割合でした。
    居宅患者の紹介元は、30.0%が病院から、40.4%がケアマネジャーから、訪問看護ステーションからの紹介が8.5%、その他(地域包括支援センターや家族など)が合わせて21.3%となっています。

     

    本人や家族からの問い合わせによる訪問診療開始は極めて少数で、大部分が紹介によるものでした。

    診療終了の内訳

    訪問診療が終了した最大の要因は患者の死亡によるもので過半を占めます。患者の死亡場所は、60.4%が自宅または施設での看取り、病院でなくなった方は39.6%でした。

     

    転居による終了(自宅から施設への入居による診療終了、連携施設の退去による診療終了)は全体の30%を占めています。

    通院再開や入院による診療終了ケースが17%となっています。

     

    今回の解析では、入院による診療終了ケースがその他に分類されており、可視化できていません。次年度以降はより詳細な分析結果をご紹介できるようにしたいと思います。

    Outcome

    2018年の診療成果

    在宅で療養している患者さんとご家族にとっての「安心できる生活」と「納得できる人生」とは何でしょうか? それは「予期せぬ急変に怯えることなく、自分が望む場所で穏やかに最期まで生活が継続できること」だと考えます。
    わたしたちは、自らの社会的責任に対するQI(Quality Indicator)として、「急変を減らす」、「入院を減らす」、「自宅(施設)で最期まで過ごせる」、この3つを設定し、継続的に改善につなげていきます。

    テーマ1

    急変を減らす

    老衰や治らない病気の進行を止めることはできません。
    しかし、病状経過から、今後の体調変化や症状の出現を予測し、それに備えることは可能です。休日・深夜でも確実に電話がつながり、迅速に往診できることはもちろん重要ですし、これは在宅医療としての絶対必要条件の一つです。しかし、それよりも大切なのは、夜中に電話をしなければいけない事態をできるだけ起こさないことだとわたしたちは考えます。
    在宅医療における医学管理とは、継続的・計画的な健康管理を通じて、急変のリスクを最小限に抑えるとともに、予期されるリスクに十分な備えをしておくこと。よりよい医学管理を通じて、急変に怯える患者さんやご家族を一人でも少なくしたい。わたしたちの目指す在宅医療の1つの方向性です。

    Quality Indicator 1 電話再診件数

    前年と比較し、緊急対応の総件数は17,207件から14,181件と、17.6%も大幅に減少しました。

    電話再診の件数は2017年の10,565件から7,626件と総件数は大幅に減少。患者一人あたりの平均年間電話再診件数も、3.8件から2.4件と36.8%減少しています。

    要介護度の分布および患者死亡率および看取り率・平均入院回数や入院期間に前年との有意な差はないので、これは純粋に医学管理(レスキューオーダーやACPの実施)の質が向上した結果であると考えます。

     

    Quality Indicator 2 往診件数

    往診件数は、2017年の6642件から6555件と、こちらも減少傾向。患者一人あたりの平均年間往診件数も2.4件から2.1件と12.5%減少しています。

     

    来年は、一人あたりの年間平均電話再診件数を2件以下に、そして一人あたり年間往診件を1.7件以下にできるよう、さらに努力していきたいと思います。

    Quality Indicator 3 医学管理への患者満足度

    在宅医療の主たる使命は、患者に対する包括的な健康管理の支援です。これを「在宅時(施設入居時等)医学総合管理」と言います。また、患者・家族のみならずケアマネジャーを中心とする多職種への情報提供(居宅療養管理指導)も重要な支援です。

    これらを通じて、わたしたちは、予防医学的なケアや、急変時や人生の最終段階への備えを支援します。

     

    毎年実施している患者満足度調査では、日ごろの健康管理へのアドバイスという項目において、軽度ですが満足度の改善傾向を認めました。
    しかし、この項目は、在宅医療において非常に重要なものです。無回答の方がいることも含め、まだまだ改善の予知は大きいものと考えます。

     

    医学管理および居宅療養管理指導の内容をしっかりと充実させ、患者さんやご家族が安心して療養生活が送れるよう、そして在宅や施設でケアにあたる介護職の方々が安心して療養支援に取り組めるよう、しっかりと取り組んでいきたいと思います。

    来年は、この項目において70%以上の満足度をいただけるよう、努力します。

     

    Quality Indicator 4 緊急対応への患者満足度

    緊急対応への患者満足度を、電話対応と臨時往診に分けて調査しました。

    緊急対応を経験していないケースが50%程度含まれることから、経験したケースのみについて分析してみました。

     

    電話対応については〔とてもよい〕と〔よい〕を合わせると、患者満足度は2017年の73.6%から75.0%へ、介護事業者満足度は76.4%から78.4%といずれも改善していました。

     

    臨時往診については〔とてもよい〕と〔よい〕を合わせると、患者満足度は2017年の73.5%から74.5%へ、介護事業者満足度は73.8%から74.3%へ、こちらもいずれも改善していました。

     

    とはいえ〔よくない〕と回答された方が、いずれも約1%存在しています。いただいたコメントを拝見すると、緊急対応への所要時間および緊急対応当番医の態度、平日日勤帯における医師への電話の引継ぎの手間などに、改善のご提案をいただいています。

    緊急対応に不安や不満を感じる方がゼロになるよう、特に上記内容については、具体的な目標と計画を作成し、改善の努力を続けていきたいと思います。

    休日夜間における往診の所要時間

    Quality Indicator 5 緊急対応の迅速性

    2018年の患者満足度調査では、より迅速な緊急対応(往診)を求める意見(コメント)を複数いただきました。

     

    休日・夜間帯において、コールをいただいてから、当番医が患者宅(施設)に到着するまでの所要時間を分析してみますと、約40%のケースにおいて30分以内に、ほとんど(約90%)が60分以内に診療を開始できていました。

    ただ、不安に怯える患者さんやご家族にとっては、1分1秒が非常に長く感じられるはずです。物理的な時間と精神的な時間のギャップを常に意識し、さらに改善を進めます。

     

    重症患者の処置や搬送先病院の確保などに時間がかかっている場合には、どうしてもお待たせしてしまうことがあります。また、複数のコールが重なった場合には、重症度や緊急性に応じて往診をしています。このような状況においては、60分以上、お待たせしてしまうケースも生じてしまいます。

    このような事案をできるだけ防ぐため、夜間帯は2名の当直医師が、休日は3名の日直医師が院内に待機しています。今後、患者数の増加に応じて、当直拠点を増補し、さらに迅速な対応ができるよう、能力の拡充に努めていきます。

     

    平日日勤帯の緊急対応については、他の患者様の診療を中断することもあり、休日や夜間よりはどうしても時間がかかってしまいます。電話でできるだけ十分な事前指示を出すなど、不安なく過ごせるよう、努力するとともに、各クリニック・各地域で常勤医師の確保をさらに進めていきたいと思います。

     

    入院治療は命を守るための最後の砦。

    非常に重要な医療ですが、脆弱な高齢者にとっては、入院治療そのものがリスクでもあります。入院治療の侵襲や入院による環境変化のストレスは、在宅患者の身体機能・認知機能を低下させる危険もあります(入院関連機能障害)。

     

    予防的な医学管理(発症予防/早期発見・早期治療)を通じて、入院が必要な事態を最小限に抑えること、そして入院になったら1日も早く退院できるように支援すること。これは在宅医療の主たる使命の1つだと考えます。

    テーマ2

    入院を減らす

    在宅医療を選択する患者さんたちは年々重度の人が増えてきていますが、それでも、できるだけ住み慣れた自宅で過ごせる時間が長くなるよう、入院回数、入院期間をできるだけ少なくできるよう、努力していきます。

    Quality Indicator 6 入院回数

    年間延べ入院回数は2017年の1,599件に対し、2018年は1,840件と15.1%増加しました。管理患者数も増加していますので、患者一人あたりで計算してみますと、2017年の年間平均入院回数0.58回に対し、2018年は0.60回と若干増加していました。

     

    Quality Indicator 7 入院日数

    年間延べ入院日数は2017年の28,076日に対し、2018年は32,582日と16.0%増加しました。患者一人あたり年間平均入院日数は10.2日から10.7日と、患者数の増加を加味しても、4.9%増加していました。

     

    入院回数・入院日数については、まだまだ改善の余地が大きいと考えます。どうすれば在宅患者の入院が回避できるのか、悠翔会在宅クリニック品川での研究成果の一部をご紹介します。

     

     

    入院は回避しうるのか?

    適切なタイミングで効果的なケアをすることで入院のリスクを減らせるような状態をACSCsといいます。2013年にドイツで家庭医を対象に行われた先行研究では、入院の41%が回避可能であったという結果が出ています。また、他にもさまざまな同様の報告が行われています。

     

    Ann Fam Med. 2013 Jul-Aug;11(4):363-70
    Strategies for reducing potentially avoidable hospitalizations for ambulatory care-sensitive conditions.

     

    悠翔会在宅クリニック品川は、東京都品川区を中心に地域に密着した在宅医療を提供しています。このクリニックにおいて、常勤医師の井上淑恵医師が在宅療養中に発生した救急搬送について、入院が回避し得たかについて解析を行いました。

     

    その結果、在宅患者の入院の46%が回避可能であり、回避可能なケースにおける入院の要因としては、社会的要因が大きいことがわかりました。

     

     

    「機能強化型在宅療養支援診療所における救急搬送症例の検討」

     

    対象:当院による訪問診療を受け、救急搬送された症例
    期間:2016年1月1日~2018年3月31日
    方法:診療録を後ろ向きに解析、居宅と施設*の2群に分類
    検討項目:年齢、性別、主訴、転帰、要介護度、入院期間、急変対応事前確認有無、独居有無、訪問看護導入有無、この入院は回避し得たか(ACSCsで分類)
    統計学的手法:2群間の比較、Fisherの正確確率検定、Studentのt検定、多変量解析、logistic回帰分析

    ※2018年度救急医学会にて報告
     
     

     

    ACSCsは、その要因別に5つに分類されます。

    ①医療者要因:診断の不確実性、診療所での治療限界
    ②医学的要因:医療緊急事態、投薬による副作用
    ③患者側要因:服薬不履行、アドヒアランス不良
    ④社会的要因:社会的支援の欠如、過保護介護者
    ⑤システム要因:時間外医師不在・外来通院手段がないなど

     

    Ann Fam Med. 2013 Jul-Aug;11(4):363-70より抜粋

    悠翔会は24時間対応の訪問診療を提供していることから、システム要因は該当しません。また、緩和ケア病棟にエントリーされている患者の緊急入院に関しては、準予定入院と考えられるのでACSCsには分類しませんでした(結果表には記載)。

    その結果、居宅患者の緊急入院に関しては、回避可能だと考えられたケースが47.7%。その原因を見ると、社会的要因が59%、患者側要因が29.1%と大部分を占めていることがわかりました。施設患者の緊急入院においても、37.5%が回避可能と考えられ、内訳は81%が社会的要因でした。

     

    在宅患者の入院を減らすために必要なこと

    回避可能な入院の要因の大部分は社会的要因・患者側要因であり、在宅医療の質を高めるというよりは、在宅療養環境の整備、家族や介護専門職へのエンパワメント、そして地域全体の在宅療養支援力の強化などが重要であることが示唆されました。

    今後は、診療能力の強化のみならず、ケアカフェや地域ケア会議など、さまざまな場で、地域の多職種連携の強化、そして家族ケアを含めたより包括的な在宅療養支援を意識していきたいと思います。

    特別養護老人ホーム「さくら」および障害支援施設「かえで」における年間延べ入院日数の推移(悠翔会在宅クリニック北千住の連携先施設)

    在宅医療導入前と比較すると、大幅な入院減に?

    上記の検討は、あくまで在宅医療導入後の入院回数・入院日数を検討したものです。在宅医療導入前と比較した場合には、おそらく相応の入院リスクの軽減ができているものと推測します。

    左のグラフは、悠翔会在宅クリニック北千住が、診療を担当させていただいている特別養護老人ホーム「さくら」および障害支援施設「かえで」における年間延べ入院日数の推移です。

    悠翔会在宅クリニック北千住が、診療を担当させていただいたのは2015年からですが、前年(2014年)に比較して、年間延べ入院日数は1,707日から569日と66.4%も減少していました。さらにその翌年、2016年(98日)と比較すると、延べ入院日数は実に94.3%減少していました。

    こちらの施設においては、24時間体制の医療のバックアップによりシステム要因をクリアしたこと、そして、意欲的な施設運営者そして現場の看護職・介護職による能動的なケアが提供されていること、看取りが増えたことにより、患者側要因・社会的要因がクリアされたことが大きいと考えます。

     

    来年は、訪問診療導入前との比較がより合理的な形でできるよう、統計分析を進めたいと考えています。

     

    「看取る」とは、自宅で死亡診断をすることではありません。それは、穏やかな生活を最期まで継続した結果、自宅で最期を迎えること。地域や施設での多職種連携、そしてご本人・ご家族が衰弱していく身体と上手に向き合えるよう、包括的な支援ができることが重要であると考えます。

    テーマ3

    自宅で最期まで過ごせる

    Quality Indicator 8 在宅看取り率

    年間死亡者数は、2017年の785人に対し、2018年は859人と9.4%増加しました。管理患者数の増加が9.0%ですので、患者の重症度に関するプロポーションには変化がないものと考えます。

    うち、自宅や施設でお看取りをさせていただいた方は、2017年の471人に対し、2018年は521人(10.6%増加)でした。看取り率は、60.0%から60.7%と0.7%増加していました。

     

    在宅療養を選択する方の多くは、「すまい」で最期まで生活を継続したいと願っているはずです。看取り率は、予期せぬ突然死や入院死等を考慮しても、70%は確保したいと考えています。

    そのためにも、来年は、緊急入院同様、看取りの障害となる要因についても調査研究を通じて明確化し、よりよい支援の実現につなげていきたいと考えております。

     

    また、日本の在宅看取り率の低さの要因の1つは、左の図を御覧いただければわかる通り、施設や集合住宅の看取り率の低さです。私たちの連携先施設は平均で80%近い看取り率を確保されていますが、一般的には施設看取り率は(施設類型にもよりますが)20~30%と言われています。

    私たちは、日本全体の看取り率の改善のため、施設での看取り援助、特に医療提供体制が脆弱であると指摘される特別養護老人ホームへの医療支援にも特に力を入れていきたいと考えています。

    Quality Indicator 9 意思決定支援・ACP

    人生の最終段階において、さまざまな選択を次から次へと強いられます。そして、人生の最期という避けることのできない宿命に対する備えと覚悟が求められます。

    納得できる人生を生き切るために、そしてご家族にとっても、大切な肉親にとって一番の人生であったと確信が持てるように、もっとも重要になるのは、一緒に考える、考え続ける(Shared Desicion Making)というプロセスです。

    アドバンスケアプランニングという言葉が使われてきましたが、これをより広く普及していくために、「人生会議」という愛称も生まれました。

     

    ご本人・ご家族が納得できる治療方針・療養方針を選択できること、そして最期をどこでどう過ごすのか、考えていくこと。

    これらは在宅主治医の重要な責任と役割です。ご本人・ご家族の評価は、昨年度に比べて(よい+とてもよい)が、それぞれ4%、5%改善しています。

    しかし、人生の最終段階の意思決定支援については、31%の方が無回答となっており、十分な対話が行われていないケースも少なくないという実情も明らかになっています。もちろん、まだそのタイミングが来ていないという方もいらっしゃると思いますが、できるだけ早い段階で対話を始めることはとても重要なことです。

    来年は、いずれの項目も改善が得られるよう、努力していきたいと思います。

     

     

    2018年診療満足度調査アンケート実施状況
    ●居宅患者様・ご家族様

    総配布数 1,511 回収数 973 回収率 64.4%
    ●介護事業所(施設含む) 

    総配布数 1,475 回収数 1,051 回収率 71.3%

     

     

    テーマ4

    診療満足度調査

    医療法人社団悠翔会は、自らを「人を幸せにするための人間集団」であると定義しています。
    在宅医療を通じて、一人でも多くの患者様・ご家族様の「安心できる生活」「納得できる人生」を実現することがわたしたちの地域社会に対する責任です。
    ご本人の持てる力を最大限に引き出しながら、ご自分で選択した生活・人生を、納得できる形で最期まで継続できること。これは在宅医療を含む高齢者福祉の原則であり、目的でもあります。
    在宅療養している方々の多くは治らない病気や障害とともに生活しています。人生の最終段階を生きている方もいらっしゃいます。医学的な模範解答を押し付けるのではなく、ご本人・ご家族がその状態をどのように受け止めているのか、真のニーズは何なのかをしっかりキャッチし、それに応えていけるわたしたちでなければなりません。


    医療法人社団悠翔会では、年に一度、全患家および連携する事業所を対象とした診療満足度調査を実施しています。診療に対する満足度は、わたしたちが期待されている役割を果たせているかを知るための重要な評価指標の一つです。
    2012年から開始して、今年で 7回目になります。15項目をアンケート形式で調査、法人全体で集計し経時的に評価しております。また、医師別にも集計を行い、個別にフィードバックするとともに人事考査の参考資料としています。
     

    この調査を実施している理由は大きく 2つあります。
     

    1つ目は、わたしたちの診療の品質を評価するためです。
    病院医療の場合は、病気の治療成績のように医療の質を評価するための明確な指標があります。一方、在宅医療は、病気や老化の進行により、医療で根本的な解決ができない方が多くいらっしゃいます。わたしたちは在宅医療においては、患者様の診療満足度が一番の評価指標であるべきだと考えます。
     

    2つ目は、わたしたちが医療者として成長していくためです。
    在宅医療はいわば「密室」の医療です。医師も患者様も、その場で行われている医療が適切なのかどうかを判断することができません。できるだけ多くの評価を集め、わたしたちの提供している診療サービスの質を可視化することで、改善すべき部分や目指すべき目標を具体化することができます。
     

    今年は、ほぼ全項目において、昨年度より改善を認めることができました。同時に、まだまだ改善の予知の大きい部分も明確になりました。
    また、皆さまからのコメントを通じて、わたしたちが認識できていない新たな課題や問題点に関する貴重なご意見をいただきました。今後、しっかりと内容を精査し、さらなる診療サービスの改善につなげてまいります。
     

    在宅医療の主役は患者様です。
    わたしたちは患者様の人生の伴走者として、患者様とご家族様の生活をしっかりと支えていきたいと考えております。まだまだ至らぬ点も多いと思います。この調査は来年度以降も継続的に実施していく予定です。
    もし、お気づきの点やご意見等ございましたら、年に一度のアンケート調査を待たず、いつでもご連絡ください。今後とも、ご指導、ご鞭撻の程、どうぞよろしくお願い申し上げます。

     

    なお、診療満足度調査のリーフレットについては、関係者の方々にお配りしています。

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