Return to site

英国の医療から学ぶ「平等」と「公平・公正」

· 在宅医療,海外,オピニオン,社会保障,在宅医療カレッジ

平等であることよりも、公平・公正であること。

英国では、誰もが等しく均等な医療を受けられることよりも、ニーズに応じて機会が適切に分配されることを重視していました。
 

在宅医療カレッジ29。
今回は、英国で家庭医として10年間活躍し、現在は日本で総合診療医として働く佐々江先生を教授にお迎えし、英国の医療制度について学びました。


英国では全ての国民が、かかりつけ医(家庭医)を持つ。
家庭医は、かかりつけの住民としっかりとした信頼関係を構築し、包括的・継続的な関わりの中で、自立した自己健康管理能力と医療サービスを利用する上でのリテラシーを高めていく。


そのミッションは、単に病気を治療することではなく、病気をもった「その人」を診ていくこと。そしてその人たちが暮らす地域全体を、そして国全体をより健康にしていくこと。

英国では、家庭医の仕組みが動き始めてから、受診の待機期間が減り、循環器死亡率が下がり、在宅看取り率は上がった。OECDの医療品質サーベイでも多くの項目でトップランクとなっている。


家庭医は実に、約90%もの患者ニーズに対応する。
そこにかかるコストは医療費のわずか約8%。


その中で英国民は家庭医をリスペクトし、家庭医の診療に対する満足度、そして家庭医の自らの職務に対する満足度も高い。

 

この対応力の高さは、専門医・高度医療機関との役割分担と多職種によるタスクシェア、そして電子化によるもの。

 

そして診療品質は、しっかりとした専門研修プログラムに加え、診療所に対する第三者機関CQC(Care Quality Commission)による評価、電子カルテからQOF(Quality Outcome Framework)ポイントとして自動的に計測される医師の診療能力、QOFと最新のガイドラインの連携、ポートフォリオに基づく5年ごとの資格更新などによりがっちりと担保されている。

 

国民は公共財としての医療を理解し、そして家庭医たちは自らの成果が可視化される中で、科学的根拠に基づいたプライマリケアを提供しながら、限られた医療資源を適切に分配していく。

 

日本では、多くの医療機関が私企業により運営されている。営利法人ではないが、事業を継続していくためには、当然、市場原理に基づいてサービス競争をしていくことになる。

一方で、その財源の大部分は、患者の自己負担ではなく、健康保険や税金などの公共のお金。患者側、医療者側、双方に高い公共に対する意識がなければ、不適切な医療の支出も生じうる。

 

平等であることと、公平・公正であること。
 

社会的共通資本としての医療のあり方について、改めて考えさせられた。

 

日本には日本の文化と歴史がある。
その中で、どのように最適解に近づけていくのか。
それぞれの地域での試行錯誤にも大きな意味があると感じた。

 

頑張るぞ。
貴重な問題提起をしてくれた佐々江先生に、そして臨時学長として総括してくれた森田先生に改めて感謝申し上げます。

All Posts
×

Almost done…

We just sent you an email. Please click the link in the email to confirm your subscription!

OKSubscriptions powered by Strikingly